田舎町で生まれた狂気。映画「ディストラクション・ベイビーズ」感想
どうも、タコヤキです。
ちょっと是枝監督作品から離れて違う毛色の映画を見ました。
力映画ですので、胸クソ悪くなるシーンも多いです。
けど、なんだかすごい作品でした。(KONAMI)
この映画です。「ディストラクション・ベイビーズ」
R-15作品です。グロイシーンはないんですけど、ひたすら人を殴っているようなシーンや女性を殴るシーンもあります。
このような描写に敏感に不快感を得てしまう人は控えたほうがいいかもしれません。
けど、役者の狂気の演技は必見です。
予告動画
ディストラクション・ベイビーズ - 映画特報(15歳未満は見ちゃダメ)
基本情報
「ディストラクション・ベイビーズ」
監督:真理子哲也(イエローキッド)
脚本:真理子哲也
喜安浩平(桐島、部活やめるってよ)
製作:西ヶ谷寿一
西宮由貴
小田切乾
石塚慶生
出演者:柳楽優弥(ゆとりですがなにか)
菅田将暉(火花、溺れるナイフ)
小松菜奈(渇き、溺れるナイフ)
村上虹朗(2つ目の窓)
音楽:向井秀徳
主題歌:向井秀徳「約束」
上映時間:108分
公開日:2016年
(雑談)脚本の喜安浩平さんは声優もやっています!(はじめて知りました)
「はじめの一歩」幕之内一歩
「蒼穹のファフナー」皆城総士
簡単なあらすじ
愛媛県松山市。両親を早くに亡くた芦原泰良は喧嘩に明け暮れる毎日を送っていた。ある日、泰良は弟の将太の前から突然と姿を消してしまった。
繁華街に現れた泰良はここでも道行く人に喧嘩を繰り広げていた。そんな様子を見ていた街のお調子者の不良、裕也は泰良に興味を持ち、共に行動することになる。やがて二人の行為はエスカレートしていき、ネットにもテレビにも出てしまい、警察も動き出す。そして、将太はそんな兄を探して街を駆け巡るー。
『ディストラクション・ベイビーズ』の見所
・役者のすさまじい演技
・予測不可能の展開
・破滅的な暴力
こんな人にオススメ!
・暴力映画が好きな人
・予測がつかない映画が好きな人
・ハリウッド的な映画でない映画が好きな人
こんな人には向いていないかも・・・
・暴力描写が苦手な人
・邦画が苦手な人
・ハッキリしない映画が苦手な人
・ヒメアノ~ル(オススメです)
感想:テーマである狂気は凄まじかったが、消化不良感が否めない。
これは言葉で表現するのは難しい映画でした。
ただ人をぶん殴っているだけの胸糞悪い映画と捉える人もいれば、狂気を評価する人もいるでしょう。好き嫌いがくっきり分かれる。あるいは僕のように消化不良感を抱いたまま悶々とする人。
主人公である泰良は、もう視聴者からしたら理解できない存在です。
そして、役者さんの狂気あふれる演技で凄まじい存在感を放つ。映像的にはこの泰良というキャラクターを映しているだけで、映画として出来上がりそうです。
このあたりでは言葉では説明つかないです。映画を見て体験してもらうほかありません。
泰良は「楽しければそれでいいねん」っていってるあたり、暴力が彼の唯一の存在意義であり、人格破綻者でもあることは一目瞭然です。
彼がそうなった原因は田舎町特有の閉塞感と両親からなのかはいまいちわかりませんが。この映画だとこのことはそこまで重要な問題ではないです。
この映画で唯一言葉で語れるのは、「裕也」というキャラクターです。
彼は不良ですが、実態は弱いしヘタレだし、変な髪形だしで碌な人間ではありません。おまけに暴力を振るう相手は自分より明かに弱い女性や老人ばかり。
泰良と出会うことで、平凡な毎日から開放されて自分もでかくなった気になってしまいます。
だけど、だんだんと泰良の異常な存在感に押しつぶされて、裕也は精神的に勝手に自滅していきます。強い自分を見て欲しいという欲求と、弱い自分を認めたくないという両方の気持ちがごっちゃになっちゃってます。
この映画ではある意味、裕也が一番人間らしいキャラクターでしたね。
けれど泰良という怪物に影響され、飲み込まれてしまった哀れな人物でもあります。
この映画では主要登場人物全員が胸に狂気を秘めているのですが、
完全に開放しているのが「泰良」
狂気と正常が相反しているのが「裕也」
狂気を飼いならしている「那奈」
狂気を飼いならせていない「将太」
だったのではないかと思います。こうみると、この映画のテーマは
「狂気の在り方」だと思います。
「泰良」は完全に狂気を開放させてるのは一目瞭然。
「裕也」は先ほどにも書いたとおり、狂気と現実が混在していて、「泰良」の影響でバランスが壊れた。
キャバ嬢の「那奈」は、上手に自分の狂気を操り、自らの内に飼いならしています。
これは、ラスト付近のシーンで彼女が人を殺しても平然として、裕也に罪を被せてるあたりからも想像できるかと思います。普通あんな状態になったら震えて泣くしかできないと思いますしね・・・。
「泰良」の弟である「将太」は、狂気を胸の内に秘めながらも、常識、あるいは正常の枠に押しつぶされて、「泰良」のように狂気を開放することはおろか、「那奈」のように飼いならすこともできていません。
行き場のない怒りや破壊衝動を抑えて、街を彷徨い歩く「将太」はまさしく、狂気を持て余しながら悶々としている爆弾のような人物です。
彼も最後に狂気を開放させるようなシーンがありますが、(バットで兄を馬鹿にした知り合いを襲おうとしたところ)それは大人によって抑制されます。
彼はまだ狂気を自分で制御できでいないのです。だから作中でもずっと悩んでいるし、悶々としている。
狂気を開放させている「泰良」と、狂気を飼いならしている「那奈」には迷いがありません。しかし、狂気と正常が相反してごちゃごちゃになっている「裕也」と狂気を飼いならせない「将太」は悩むことになります。
と、まぁこんな感じなのかなぁという自分なりの考察です。
もっと他の捉え方もあると思うので、ぜひ皆さんも映画をみて考察してみてください。
今回は以上です。
ーそれでは、また。