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【書評】どちらかと言えば貴族的かも。「君たちはどう生きるか」感想

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 どうも、タコヤキです。

 寒くて嫌になっちゃいますね。本当にだるい。

 今回も書評です。最近マンガで大きな話題になった「君たちはどう生きるか」です。

 僕が読んだのは漫画版ではなく、岩波文庫版のやつ。活字ですけど、古典の中ではかなり読みやすい部類に入ると思います。厚さ普通の文庫本と一緒です。

 

 

・どちらかと言えば貴族的、ノブレス・オブリージュ的だと思う

 どちらかというと、良い家柄に生まれて社会的立場が上の人が読んでおくべき本だったと思います。

 読めばすぐに分かりますけど、主人公のコペル君は頭も良く家柄も申し分もない貴族的な人。悪く言えばお坊ちゃんです。

 そんなコペル君が自分が与えられるものや、自分とは縁のない貧乏に関して叔父さんと色々と談義していくのですけど、個人的にはどうもしっくりこなかった。だからか、ナポレオンの話なんか全く共感できなかった。

 与えられてたものに感謝し、その分だけなるべく社会に還元しようとするのは、基本的に余裕があり、社会に価値をもたらせる人だと思う。今は社会が高度化し、多くの人が仕事に不安を持つような時代だ。今自分が社会に価値をもたらしているなんて、考えている人がどれだけいるだろう。サラリーマンにそれを自覚しろなんて現実的じゃない。鼻で笑われてしまう方が多そう。

 けど、今は多く金を稼いでる人間が偉いみたいな風潮が少なからずあると思う。そして低賃金で働いている人間が惨めだと感じてしまうことも。社会に必要であるにもかかわらず。

 本来、平均より高度な教育を受け、恵まれた環境にいた人が、より高度に社会に貢献するかを考えられると思う。今絶望的なのは、そういった人たちが悪劣な環境で働いている人を馬鹿にしていることだ。無論、そんなこと言っているのは少数なのかもしれないけど。

 「君たちはどう生きるか」はお坊ちゃんのコペル君が、自らの小ささと貧乏、社会のあり方を学び、それらを踏まえた上でどうやって生きるかを問いてるような作品です。だから平均的な人よりも、優秀な人が読むべき本で、ノブレス・オブリージュ的な本だと思いました。

 

・1番良い話はコペル君がヘタレたところ

 1番共感できたのは、コペル君が上級生に殴られている友人に駆け寄れず、ヘタレて熱出してしまったところ。コペル君の真面目さと誰もが人生で一度は経験するであろう、過ちと後悔の話です。生々しく、泥のような感情がよく書かれています。

 古今東西誰もが感じたことがあるのではないかという話ですが、簡潔できれいにまとまっていると思います。これぞ古典って感じです。

 人が過ちを犯してしまうことは必ずどこかであり、苦しむことがある。これだけではなく、過ちを認めることや謝ることがしっかりと描かれていたのも良かったですね。

きちんと間違いを認めて謝れるって、現代では中々高等テクニックにもなっている気がします。本当に忘れたくない精神です。

これは貧富の差とか関係なく、全ての人が一度読んでおいた方が良い話だと思いました。

 時間が無い人は、コペル君がヘタれるシーンだけ読んだ方がいいのではないかと思います。本当に。

まとめ

 「君たちはどう生きるか」は半分くらいが、ノブレス・オブリージュ的な話だと思いましたが、コペル君の過ちと後悔のシーンは必見です。

 漫画版も出ているので、さくっと読みたい人は漫画版でも良いので触れてみることをおすすめします。

 

 今回は以上です。

ーそれでは、また。