なりたい大人になれなかった人へ。是枝監督『海よりもまだ深く』感想
どうも、タコヤキです。
またしても是枝監督の作品です。
すっかりはまっちゃいました。
今回は『海よりもまだ深く』という作品です。
アマゾンビデオで見れますよ~。
これも家族をテーマにしている作品です。『万引き家族』見た方はこちらも見てほしいです。大人にとってはかなり胸に刺さる作品だと思いますよ!
予告映像
基本情報
『海よりもまだ深く』
監督:是枝裕和
脚本:是枝裕和
原案:是枝裕和
製作: 松崎薫
代情明彦
田口聖
製作総指揮:桑田靖
濱田健二
中江康人
松下剛
出演者:阿部寛(ドラゴン桜、テルマエ・ロマエ)
真木よう子(そして父になる)
小林聡美(かもめ食堂)
リリー・フランキー(万引き家族)
池松壮亮(ラストサムライ)
橋爪功(家族はつらいよシリーズ)
樹木希林(万引き家族)
音楽:ハナレグミ
上映時間:108分
公開日:2016年
簡単なあらすじ
15年前に賞を受賞した小説家、篠田良多。現在は小説も売れず、興信所で働きながら小説を書いて生活していた。だが、良多はギャンブル癖もあってお世辞にも生活は良くなかった。そんな夫に愛想をつかした妻の響子と良多は離婚することになった。それでも父親としての意地で月に1回子供の真吾と会い、養育費を払っていたー。
『海よりもまだ深く』の見所
・切なく、力強い人間物語
・役者の演技力
・綺麗な日常の描写
こんな人にオススメ!
・是枝監督作品が好きな人
・日常的なシーンが多い映画が好きな人
・切ない映画が好きな人
こんな人には向いていないかも・・・
・ヒューマンストーリーが苦手な人
・邦画苦手な人
こんな作品が好きな人にオススメ!
感想:なりたい大人になれなかったけど、人生は続く
完全に個人の趣味ですが、是枝監督の作風は自分にとってかなりツボにきます。
2元論で語れず、色んな見方ができるというのが1番好きです。
『海よりもまだ深く』は、「なりたい大人になれなかった大人たち」の物語。
主人公は小説家として収入を得て、良い父親として家族と生きていたかった。
けどそんな父親にはなれずに、祖母や妹にお金をせびったりする日々。それでも父親として意地をみせようと必死。
主人公はなりたい大人になれずに、まだ自分がなりたかった大人を目指しています。それはもう無理なことなのに。
一方、妻もなりたい大人になれなかった大人の一人。
妻はなりたい大人になれなかった大人になれなかったことを認めて、前へ進んでいこうとする印象を受けました。
夫の方はいつまでも駄目になってしまった自分を認められない感じ。ある意味それが夫に対して、妻がいらつかされる原因だったのかもしれません。
いい加減駄目になってしまったことを認めて、あんたも次に進んでよ。
私は先に進もうとしているんだからさ。って。
実際にはこんなことは劇中で言っていないのですが、そういった悲壮感や羨望がいやというほど伝わります。その描写も丁寧で綺麗で生々しいです。
個人的には夫の母であるおばあちゃんのラストがくすっときて、感慨深かったですね。
「なんで男の人って未来や過去ばっかり見て、現在を楽しめないんだろう」
っていう台詞なんですけど、
ラストでおばあちゃんが自分の夫の持ち物は全部処分したって言ってたのに、夫のシャツだけしっかりとっておいてあったんですよね。
あぁ、あんなこと言ってはいるけれど過去のことはやっぱり忘れられないんだなぁと思いました。
だけど、未来や過去ばかり見て停滞してはいけないんですよね。
母や妻のように、過去を受け止めながらも前へ進んでいくしかないんですよね。
ラストは夫にとって、ようやく前へ進んでいったという描写だったのかもしれません。
なりたい大人にはなれなかったけど、人生は続くんですよ。
過去とつながったままね。
これも良い映画でした。
是枝監督すごいです。
今回は以上です。
ーそれでは、また。