原作に対するアンサー?園子温監督による映画「ヒミズ」感想
どうも、タコヤキです。
この前あげた漫画の感想の「ヒミズ」の映画版が気になったので、Netflixで見ちゃいました。アマゾンプライムでも見れますね。
シナリオは原作に沿っていますが、監督の趣向やラストシーンが違い、ある意味原作のラストの批判とも見れる内容になっています!
原作を見ている状態でも、びっくりな内容でしたので、気になる方はぜひ見てみてください。
BR版はこちらです。
~wikipediaであらすじや出演者をチェック!↓~
予告はこちらから
~映画版「ヒミズ」はどんな人にオススメ?~
・園子温監督作品が好きな人
・B級映画的なものが好きな人
~逆にどんな人にはすすめられない?~
・原作が絶対だ!という人
・園子温監督作品がそもそも好きではない人
~どんな映画が好きな人にオススメ?~
・冷たい熱帯魚
・愛のむきだし
原作が気になる人はぜひこちらもチェックどうぞ!
~ストーリーに関して~
基本的には原作に沿ってあるシナリオであり、90%同じです。
しかし、原作と映画版の違いといったらはやりラストシーンでしょう。
*重大なネタバレとなるので、内容は具体的にはできるだけ伏せます。大丈夫だという人はそのままどうぞ。
原作のラストと映画版のラストは真逆の解釈をしてあると思います。
原作者の古谷実さんと園子温監督の主張の違いです。
原作ではやはり罪を犯した人間は、日常の世界には戻れずに、壊れていくような描写で終わります。
そこには現代社会の問題や、駄目な大人に潰された、1人の若者の救いようのないドラマであり、読者の心に種を植え付けるような作品でした。
だが、映画版では救いを残しており、再起が描かれています。
「がんばれ、がんばれ」とひたすら叫びながら走るようなラストです。
これは、駄目な大人に振り回され、人生をめちゃくちゃにされた子供が必死に生きようとしている描写でもあります。これは深作監督の「バトル・ロワイアル」でも似たような描写があります。
映画版「バトル・ロワイアル」の主人公、七原秋也の父親は自殺して、遺言として「秋也がんばれ、がんばれ」というメッセージを残します。
人生に絶望した北野も最後に中川典子に向かって、「がんばれ、がんばれ」と言い残します。
そして「バトル・ロワイアル」はラストに「精一杯でいいから、走れ」という言葉を残して、終了します。
映画版「ヒミズ」と映画版「バトル・ロワイアル」の最後のメッセージは同じです。
それは、「生への肯定」です。
「ヒミズ」の主人公、住田も大人に人生をめちゃくちゃにされ、「バトル・ロワイアル」の主人公、七原も大人や国の制度によって、人生をめちゃくちゃにされます。そして、周りの大人はそれを止められません。
絶望の淵に立たされている彼らはそれでも前を向いて走ります。
どんなに理不尽な状況でも、周りにお前には価値がないといわれても、精一杯あがいて、生きてくれ。自殺なんて許さない。走れ。
自殺を否定し、生への肯定ー
映画版「ヒミズ」は原作の「ヒミズ」に対する、園監督のアンサーとも呼べるものであると思います。
この映画の一番の注目点はここだと断言します。
~演出について~
正直、最初はだるいところが目立ちます。こういった流れが好きな人もいますでしょうが、自分は苦手です。
しかし、ラストの住田と茶沢の会話のシーンは原作よりも好きです。
これは言葉で言い表すのは中々難しいです。絵的にも役者の演技も素晴らしいです。
邦画の中でもここのシーンのレベルは中々ありません!
正直、このシーンだけでも見て損はないです!
他には、原発やら震災のことについての描写がありますが、これは監督の思想のようなものですので、深く突っ込まないほうがよいかと思われます。
正直、これらの題材は、この映画には不要だったと思います。
~キャラクターについて~
茶沢はもう少しなんとかならんかったのか・・・っていうのが本音です。
正直、最初はただの頭のおかしい子としか思えません。
家族に虐待されていたみたいな設定も必要なかったのではないかと思います。これは原作の設定のほうが圧倒的に好きです。
正造がおじさんになっていたのはびっくりでしたが、特に違和感がなく、溶け込めていたと思います。
ある意味、現実でいったら映画版の正造のほうが、すんなり受け入れられます。
漫画版の正造はちょっと特殊ですから(笑)
~まとめ~
原作とはしっかりと差別化できており、違った解釈もしています。賛否両論はありますが、原作を見ている人でも新鮮な気持ちで楽しめるはずです。
ちなみに僕は原作のほうが物語として映画版より好きです。
園子温監督が好きな人は、ぜひ原作のほうも読んでみてください。
今回は以上です。
ーそれでは、また。