普通になれない絶望の物語。古谷実作、漫画「ヒミズ」感想
どうも、タコヤキです。
意外とTUTAYAの漫画レンタル使いやすいし、安いですね。
という訳で、この前TUTAYAで借りた漫画、「健康で最低限度の文化的な生活」に引き続き、もう1つ漫画を借りました。
それが、これ。古谷実の「ヒミズ」です。
古谷実といえば、伝説のギャグ漫画「稲中卓球部」で有名ですよね。当時はゲラゲラ笑っていました。
こちらもオススメの作品、というよりは名作ギャグ漫画ですので、ぜひ読んでみてください。
そんな稲中の作者の漫画、「ヒミズ」ですが、本当に同じ作者が書いたのかよって言いたくなるくらい、憂鬱なストーリーでした。
終始暗いので読む場合はある程度覚悟して読むべきです。
正直賛否両論あります。ですが、ぜひ読んでみてください。かなり衝撃的な作品です。
~「ヒミズ」はどんな人にオススメ?~
・救いがないような話が好きは人
・現代社会の闇的なものが好きな人
・憂鬱ストーリー大好きって人
~逆にどんな人にはすすめられない?~
・レ○プなどの表現があるので、その類が苦手な人にはオススメしません。
・人生とは何か、みたいなテーマが苦手な人
~どんな作品が好きな人にオススメ?~
・タクシードライバー(映画) ロバート・デ・ニーロ主演
・リリィ・シュシュのすべて(映画)岩井俊二監督作品
・闇金ウシジマ君(漫画)
~ストーリーについて~
絶望、ただとにかく絶望。
何も知らない子供の頃は普通になれると思ってたが、そうではなかった。ひょんなことで人生の歯車はいくらでも狂うし、壊れてしまう。
ー壊れて戻れない人間の待つ先なんて基本ろくなもんじゃない。
普通の人のところには帰れないし、そのような人たちと交じわうことなんてできない。
そんなようなストーリーです。
いわゆる普通とはかけ離れてしまっている人間の物語です。普通の幸福なんて想像できず、自分のルールや価値観にずぶずぶと嵌りこんでいって、壊れていく話。
感覚的には前に読んだ小説、唐辺葉介の「電気サーカス」のような主人公の話です。
「ヒミズ」の物語の構成は素晴らしいです。4巻という短い巻数でよくここまで書ききれたな、と思います。ストーリーに関しては重い小説を1冊読み終えたような心地があります。
~キャラクターについて~
この漫画の登場人物って基本的には陰と陽に分かれています。
陰のキャラクターはもちろん主人公を始めとした、犯罪者に近い人たち。
陽もキャラクターはヒロインの茶沢を中心とした人たち。(正造がこっち側の人間になって本当に良かった・・・)
読み手によってはキャラクター別には感情移入できないところもあるだろうし、理解できないものがあると思います。
そのような理解できないものを抱えたものが、主人公を始めとした、陰のキャラクターです。
彼らの抱える闇をここまで鋭く描写した漫画は、中々見られないです。
~読んで辛かったところ~
やはりラストシーン付近ですかね。
最後の茶沢との会話は涙がでます。普通になれるかもしれないラストチャンスだったんですが、もう救えない状態だったのかもしれない。
自分にとっての手に入れることができやしないものを思い描くってかなり辛いです。
主人公の放浪も空しさここに極まるって感じです。
あんな風でしか、自分の存在をあらわせないのです。
誰からも愛されずに、何者にもなれない者が、最後にいきつく先は彼のようなつまらない犯罪者、異常者、テロリストのような者なのかもしれません。
現代社会に取り残され、闇を抱えた若者という感じです。
~まとめ~
今回は抽象的な感想が多いのですが、いかんせんがっつりネタバレになるので、あえてこのような感想にしました。
これでシンパシーを感じ取って読んでくれたかたがいらっしゃったら、嬉しい限りです。
園子温監督による実写映画もありますので、そちらもチェックしていきます。
今回は以上です。
-それでは、また。
前に借りた漫画の感想はこちら