スポンサードリンク

圧倒的な完成度!小津安二郎最後の作品「秋刀魚の味」感想

Netflixで映画漬けの日々を

 

こんにちは、タコヤキです。

 

昨日Netflix小津安二郎監督の「秋刀魚の味」という映画を見ました。
東京物語」が超有名で小津監督の生涯最後の作品となった作品です。

 

 

娘を嫁にいかせる父親の心情が丁寧に描かれている映画です。

 

この映画で一番胸に残ったのは「人はやっぱりひとりぼっち」というセリフです。

 

小津監督の映画は飯を食べたり、掃除したりな日常的なシーンがほとんどなんですけど、そこにちょっと見せる感情的な動作と景色の写し方が非常に美しいです。「秋刀魚の味」も例外ではありません。

 

娘を見送る父親の視点で「秋刀魚の味」の話は進んでいくんですが、娘を嫁がす事をしなかった主人公の恩師がでてきます。その人が孤独と罪悪感で苛まれているところを見て、主人公は娘を嫁に嫁がせる事を決心します。
しかし、最初は娘も家を出て環境を変えるのは気が進まななかったのですが、紆余曲折を経て無事結婚する事になりました。

 

この映画の見所はこの後の父親の様子。
いつも物静かで、品も良かった主人公は酒を飲みまくります。
出て行った娘を思うと、何だったのだろうと感じる主人公。
主人公は昔の思い出に浸れるような軍歌が流れるバーで酔いつぶれ、帰ってきます。
娘がいなくなって、暗くなった主人公の家を映して、この映画は幕を閉じます。

この映画で「人はやっぱりひとりぼっち」というのは、子供を育てても、結婚をしても、最後はやはりひとりになってしまうということです。

主人公は妻に先立たれています。恩師も同じ。結局は人は流れていくものなので、人は最終的には1人になってしまいます。これを静かで、美しく、日常的に描いているのが小津監督の魅力です。

 

人間が死ぬと決まっている限り1人で死ぬことは、逃れられない運命です。
それが身近に感じている年老いた人は、悲観しているのが主人公の恩師、受け入れるのを拒みつつ、過去に浸り酔いつぶれたのが主人公です。この映画の人物って過去に浸っている人ばかりなんです。バーで出会った、元海兵の人も過去のことばっかりしか話さず、現代のことについてはあまり話そうとしません。この映画の登場人物はみいなそんな傾向のある人物、あるいはそれに気がついていない人しかいません。


時間が過ぎ去る残酷さや、人生の虚無感、空しさ。それらの事実を日常的に美しく描いているこの「秋刀魚の味」は、まさしく日本文学的で邦画の名作といわれるのにふさわしい作品といえます。

 

小津監督の映画で「秋刀魚の味」と似たような傾向の作品もありますが、こちらのほうが僕は衝撃的でした。
映画としてもきれいにまとまっていて、終始テーマにぶれがないですし、描写も非常に丁寧。小津テイストもしっかりと含められています。
完成度が非常に高い作品です。

 

小津監督の映画を初めて見るという人は、「東京物語」がよく勧められますが、カラー映画ということもあって、僕はこの「秋刀魚の味」をおすすめします。

でも東京物語もオススメします(笑)にしても安くなったな~。

 

 

今回は以上です。
ーそれでは、また。