現代だからこそ見て欲しい映画。ケン・ローチ監督、「わたしは、ダニエル・ブレイク」感想
どうも、タコヤキです。
映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」の感想です。
かなり心がえぐられる映画です。
日本で言えば、生活保護の申請を突っぱねられた場合とかにありそうな感じ。
かなり社会的な映画であるのと同時に、人間賛歌が非常に詰め込まれた泣ける作品です。
基本情報
『わたしは、ダニエル・ブレイク』
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァーティ
製作:レベッカ・オブライエン
製作総指揮:パスカル・コシュトゥー
出演者:デイヴ・ジョーンズ
ヘイリー・スクワイアーズ
ディラン・マキアナン
ブリアナ・シャン
音楽:ジョージ・フェントン
上映時間:100分
公開日:2017年3月
イギリスで大工として働いてきた59歳の男、ダニエルは心臓の病気から仕事を医者にとめられた。働けず収入を得られなくなったダニエルは国の制度を頼もうとするが、複雑化した制度が障壁となり、国の支援を受けることができないでいた。
そんな中、シングルマザーのケイティと出会い、お互い助け合いながら交流を深めて行く。しかし、冷たい現実は彼らを追い込んで行く。
「わたしは、ダニエル・ブレイク」はどんな人におすすめ?
・ヒューマンドラマが好きな人
・優しいが悲しい物語が好きな人
・社会風刺物が好きな人
~逆にどんな人にはすすめられない?~
・映画はアクション物しか見ないよっていう人
・生活保護とかにマイナスなイメージしかない人
(それでも見て欲しい)
~どんな作品が好きな人にオススメ?~
・健康で最低限度の文化的な生活(漫画)
・ヒューマンドラマ全般(マイ・フレンド・フォーエバー、今を生きる、グラン・トリノetc)
物語について
非常に胸を打たれる映画でした。
本当にそれ以外のことが言えなくなる気持ちになります。
イギリスが舞台なのですが、日本でも通ずるところがあるのではないでしょうか。
日本では生活保護や格差、貧困問題が現在盛んです。
ちなみに生活保護のリアルはこの漫画がオススメです。こちらは社会勉強にもなりますので、ぜひ手にとってみてください。
普通に生きていただけなのに惨めな生活へ追いやられてしまうこの辛さ・・・
この映画は監督のケン・ローチの怒り、そして人間の尊厳と強さが静かに描かれています。
一番良かったと思うところは、ダニエルが生活のために体を売ってしまったケイティに泣きながらそんなことやめてくれとケイティを抱きしめたシーンです。
ダニエルのこの行動が無ければ、ケイティは身も心も闇に落ちていってしまったはずです。それは人間の尊厳を捨てるのと変わらない事。
ダニエルはそれを泣きながら真っ直ぐに否定し、ケイティを抱擁したのです。
このシーンは本当に心ゆさぶられます。人間の尊厳を強く肯定し、守ろうとする素晴らしいシーンでした。
今の時代にこんなことをまっすぐに言える人間なんてどれほどいるのだろうか。
本当にまっすぐな人間愛に満ち溢れた映画でもあり、既存の社会制度を批判した社会風刺的な映画に仕上がっています。先にも言いましたが、これはイギリスでの話しではあるのですけれど、日本でも同じような問題が起きています。
非効率的なやり方による支援の遅れ。地域のさでの規則の緩み。本当に支援が必要な人にいきわたらず、不正受給が生まれる制度のゆがみ。そして、その批判。
この映画を期にもう一度、社会制度について考えていけたらよいと思います。
キャラクターについて
登場人物の多くはいわゆる社会的弱者です。
日本だとこういうのは自己責任だっていう風潮がありますから、ひどいものだと思います。この映画の人物の場合、病気ですからね!
色々な経歴を持つ人がいますが、ほとんどの人は明かされません。
喋りたくないという人も多いでしょう。
その中でダニエルはかなりまっすぐなキャラクターでした。
時代についていけない感じがなんとも人間らしくて素晴らしい役だったと思います。
本当にしっかりとしたセーフティネットが充実していく日を願います。
まとめ
最後のセーフティネットがセーフティネットとして機能しなかったり、逆に人を追い込んでしまうシステムはやはり改善されるべきです。
この映画は現状の制度の批判でもあります。
しかし一番主張したいのは人間の尊厳についてですね。
果たして、これからの時代人間の尊厳が尊重されるのか、それとも血を流しながらも生産性をあげていくのか。
人間にとって不幸にならない社会になることを祈るばかりです。
自分もそのために色々やらなきゃなぁと、思いつつ明日も会社とかに行くのだろう(涙)
今回は以上です。
ーそれでは、また。