「パンズラビリンス」製作スタッフによる映画『怪物はささやく』感想
どうも、タコヤキです。
これもずっと気になっていた映画です!上映館が少ないし、時間合わないしで悔し涙を流したもんですよ。
それがこれ!『怪物はささやく』。もうアマゾンビデオでも見れますね。
さて、この「怪物はささやく」はなぜ気になっていたのかというと、あのデルトロ監督の名作、「パンズ・ラビリンス」の製作スタッフ陣が再結集し、創られたものだからです。
これだけで、「何っ!」ってなった人も多いと思います。
そういう人はすぐに見ましょう。マジで。絶対楽しめるはずです!
基本情報
『怪物はささやく』
監督:フアン・アントニオ・バヨナ(永遠のこどもたち)
原作:パトリック・ネス『怪物はささやく』
出演者:シガニー・ウィーバー
フェリシティ・ジョーンズ
トビー・ケベル
リーアム・ニーソン
音楽:フェルナンド・ベラスケス
上映時間:108分
公開日:2017年6月(日本)
簡単なあらすじ
主人公のコナーは12歳。彼は末期ガンの母親の自宅療法で家事などをやっていました。しかも叔母との仲は悪く、学校でもいじめに合っており辛い日々を過ごしてた。
そんなストレスのたまる生活からかコナーは母親が地割れした地面の中に吸い込まれていく夢を見るようになります。そしてある夜、コナーの家の庭に大きな怪物が現れました。
そしてその怪物は言いました。「3つの物語を話し終わったら、最後はお前の真実を語れ」
『怪物はささやく』の見所
・夢と現実が入り乱れるダークファンタジー
・少年の成長
・御伽噺のようでリアルな痛々しい映画
どんな人にオススメ?
・パンズラビリンスが好きな人
・ファンタジー系が好きな人
・少年成長物語が好きな人
どんな人にはオススメできない?
・アクションとか求めている人
どんな作品が好きな人にオススメ?
・パンズラビリンス
・ヒューゴの不思議な発明
・IT「それが見えたら終わり」
IT「それが見えたら終わり」が気になる人はこちらもどうぞ↓
感想:虚構が必要だった少年と成長
パンズラビリンスは傑作ですが、この『怪物はささやく』も良かったですね~
っていうか僕はこの系統の話が非常に好物なのですよ。ビジュアルも絵本の中にいるようで本当に御伽噺のような演出でした。
さて、この『怪物はささやく』は『パンズラビリンス』と非常に通ずるところが多くあります。
第一に主人公が子供というところ。
第二に過酷な現実があるということ。
第三に虚構の世界に逃げ込むところ。
「パンズラビリンス」はファンタジーな世界に少女が引き込まれていき、悲劇的な結末を現実では迎えますが、この「怪物はささやく」は前向きな話となっています。
「怪物はささやく」の少年コナーは母の介護と叔母との関係、そして学校でのいじめでストレスフルな生活です。そんな彼の前に現れたのは、コナーを破滅へと導く怪物だと思われましたが、とても優しい怪物でした。
ストレスフルの生活で矛盾した歪な感情を吐き出すために、コナーは夢だと思っている怪物の言う通りにモノを壊したり、いじめっこを病院送りにしたりします。
そして怪物の物語は進んでいき、いよいよコナーが真実を語るときがきます。
コナーの真実の話は目を背けたくなるような、矛盾した感情。
母を愛しているが、母の介護から開放されたいという想いがぐちゃぐちゃになって彼の心の中にありました。その真実の感情から目をそらし続けていたコナーは、ようやく自分の本当の気持ちに気がつきます。
そして、その歪な感情を真正面から受け止め、叔母や母ともう一度向き合います。
そのときの彼はありふれた母を愛する少年の姿でした。
大人びているとはいえ、子供のコナー。過酷な現実を生きるためには物語り、現実ではない虚構が必要でした。パンズラビリンスでもそうですが、過酷の現実を和らげるために子供は虚構に没入します。そうしないと彼らの心が壊れてしまうからです。虚構、物語はその逃げ場でもあるのです。
しかし、彼の虚構は母の創作した絵本をベースにできています。
これはどういうことというと、母の遺した物語はコナーを辛い現実から救い、最終的にはコナーを成長に導いてくれるのです。
まるで母親のような優しさと強さをもった物語です。
「パンズラビリンス」では心地の良い逃げ場の意味合いが強かったのに対し、「怪物はささやく」では逃げ場以上に、成長を即すという親のような役割をもっているのです。
そう考えるとこの「怪物はささやく」という作品は、なんと心温まる、愛情に溢れた作品なんだろうと感動を覚えます。
正直、絶対バッドエンドだろって思ってたので、意外でした(笑)
パンズラビリンスはちょっと鬱だったからちょっと・・・っていう人もこの「怪物はささやく」なら安心して見れるでしょう!
何よりも構成がしっかりしているし、ビジュアルも美しい。映画でしかできないやり方で、母の愛を描いた本作はまさに、パンズラビリンスと肩を並べる傑作といえるのではないでしょうか。
今回は以上です。
-それでは、また。