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この国をどう救う?神山健治監督によるアニメ「東のエデン」感想

 


どうも、タコヤキです。

 

久しぶりにアニメを見ました。
神山健治監督による「東のエデン」です。

 

 

 神山健治監督は「攻殻機動隊SAC」や「精霊の守り人」、最近では「ひるね姫」の映画を担当しています。

 

 ニート既得権益、この国の社会構造や防衛などの現代社会批判をテーマにした作品であり、今でも通じるほどです。

 


東のエデンはどんな人にオススメ?
神山健治監督作品が好きな人
現代社会をテーマとした作品が好きな人
・おしゃれなアニメOPとかが好きな人

 


逆にどんな人には勧められない?
・美少女とか求めている人
現代社会をテーマとした作品が嫌いな人

 


どんな作品が好きな人にオススメ?
攻殻機動隊SAC
輪るピングドラム
・劇場版 機動警察パトレイバー

 

 

シナリオについて

 

 とても斬新で面白いと思います。
 
 現代社会批判がテーマですが、主人公である滝沢明(偽名)は謎の人物に100億円使える、特殊な携帯を渡され、この国を救わなければいけないというゲームに参加させられます。ゲームの参加者は全部で12人です。

 

 物語はゲームがそこそこ進んだ状態で、滝沢は何故か記憶を失っている状態から話が展開します。

 

 シナリオの構成は、序盤は謎や伏線をたくさん散りばめて、話数を重ねるごとに徐々に謎が明かになっていく構成です。


 この国は現実の日本社会みたいにニートがたくさんいたり、既得権益にすがる大人や陰湿なことをする企業(ブラック企業)などが登場します。

 

 謎がどんどん明かされているのも面白いですが、滝沢以外のゲームの参加者の、こに国の救済方法も面白いです。


 どんな人間が、どんな方法でこの国を救うのか?なにが原因でこの国は駄目になったのか?


 そんなことを考えさせられるアニメです。

 


キャラクターについて

 

 キャラクターははやりゲームの参加者を見ているのが面白いなぁと思いました。
 この国を救う方法や、動機がバラバラですからね。

 


 滝沢明

 

 本作の主人公。記憶がないが、自分の家だと思われるところには、ニートを20万人虐殺したのではないかと、思わせる写真がありました。

 

 自分は悪魔なのかそれとも別の何かなのか?

 

 滝沢はこの国を救うというよりも、このゲームを始めた人間をぶん殴りたいという衝動で、ゲームを進めます。

 

 特別な信念も持っていませんが、一般的な倫理観を持ち合わせている人物ですので、他のゲームの参加者の動機にも疑問を持ちます。

 

 この主人公の視点を通して、あなたはこの国の現状をどう見るか。
 そんな問題定義を起こす主人公かな、と思います。

 


 No10とNo1

 

 印象的にはこの2人が強かったです。

 

 No10は聞いてるだけで、頭痛がするようなキャラクターでした。
 過労で倒れる両親。派遣労働者ワープアと、この国の労働環境の悪さを象徴しているかのようなキャラクター。
 なんでも自己責任、努力不足と言って切り捨てる社会に絶望して、奮闘する青年。


 リアルすぎて嫌になりますね。


 作中では国を一度ぶっ壊して、権利や富を再分配するという思想を持っています。

 

 境遇が境遇なだけ、こういった思想に陥るのはほとんど必然といっていいのかもしれません。現実でも同じです。


 一方No1はエリートで元官僚です。No10とは間逆の人生を歩み、自己責任と言われてもなんとかなる人物です。

 

 No1とNo10は目的が一致して、手を組んでいるのですが、二人の思想はほとんど交わることもなく、ただ目的がたまたま一致しただけということでした。

 

 No1は既得権益層や怠け者を取り除き、この国をグローバルに活躍できるようにすることを信条としています。今でいうネオリベラリストに近い思想の持ち主です。


 他のゲームの参加者は元々この国は終わっているからどうでもいいという人物や、自分の夢のために100億を使う人物など色々います。(アニメでは全員でてきません)


 
 基本的に滝沢以外は全員自分がこの国がこうなったらいいな、という気持ちで動いているんですよね。全体としてどうすれば、多くの幸福と、少ない不幸を実現できるかなんて考えていません。あくまで個人的な思想で動いています。


 滝沢はどれも違和感を感じて、この国をなんとかしようとします。
 切捨ても破壊も否定します。
 
 そう考えると滝沢はそこまで人間的には見えなくなるなぁと感じます。
 こうあるべきっていう、思想も欲望もないんですもん。


 印象に残った台詞

 

 滝沢「今の社会は上がりを決めたおっさんたちを守るための体制になってる。」

 

 滝沢「若い奴等が働かなくなったら、困るのはおっさんたちだ。ニートってのは、おっさんたちへのテロ行為なんだよ」

 

 細部が絶対間違っていますが、意味的には同じだと思います(笑)

  
 今の社会というのは昔の価値観で成り立っていると思います。一生懸命働いて、お金を稼ぐという。

 

 しかし、それらを手にした大人たちは、全体のことなど考えずに自分の利益を守るための、決まりや価値観を若い人に押し付けてきている感じがします。

 

 ニートというのは、そんな決まりと価値観と相容れなかった人たちなのではないかと思ったりしました。テロ行為ではなく、居場所がないから、そういうものになるしかなかった。

 

 そんな人たちの楽園を作ることは可能なのでしょうか?

 

 まとめ

 

 このアニメには劇場版で続きがあります。
 アニメシリーズだけなら、問題定義で終わっているようにみえます。

 

 この国の腐敗の原因、救済手段。それらは劇場版で何かしらの回答が出てくるのでしょうか?

 

 このアニメの面白いところは、この腐敗した国への個人個人の心情が面白いです。
 その人の境遇や立場によって、他の人とずれていくのが何ともリアルです。

 

 あなたはどの立場のキャラクターからこの物語を見ましたか?
 
 

 今回は以上です。

 -それでは、また。