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寂寥感こみ上げる作品!山田正紀「弥勒戦争」感想!

小説日記

 

こんにちは、タコヤキです。


昨日kindleで読んだ山田正紀の「弥勒戦争」の感想です。(ネタバレあります。)
これすごく安くなっていて、小説自体もかなり読みやすい構造のですごく気軽に読めます。

 

僕は山田正紀が結構好きで、「宝石泥棒」や「神狩り」が好きでした。
「弥勒戦争」は「神狩り」が好きな人にオススメの小説です。


神狩りでもそうだったのですが、弥勒戦争の内容は正体のつかめない絶対者との戦いを描いています。その戦いは神狩りでもそうでしたが、かなり絶望的な戦いで、必死に絶対者に反抗しますが、あっさり人が死んでいきます。

 

弥勒戦争は仏教や独覚など独特な設定と、朝鮮戦争などの正史をベースにした舞台という独特な世界となってります。
僕は仏教に対する知識が皆無なのでこの点に関しては、詳しく説明できませんのでご了承を(笑)

 

人を救うと言っておきながら、その手段が人間の大量虐殺ということしかないのがあまりにも悲しい。テンポが良くて感情が追いつきませんが、普通にバッドエンドに近く、自然的でもあるんですよこれ。
人間が増大していき、袋小路に陥った時に自然は人間を減らすために弥勒は存在するようになっている。
つまり弥勒は自然であり、避けられない運命的なものでもあるんです。弥勒は固化にも人類に影響を与えられらとありましたから、恐らく人類のターニングポイントのようなところの大量虐殺は弥勒が関係していたのでしょう。
だがそれは人間の大量殺戮を意味しています。行き詰った人類を善くするためにはある程度の粛清は必要であると。
弥勒はそのための存在であるのです。

 

全体的に寂しいんですよね、この作品。
弥勒も独覚も滅びが定められていて、主人公の抵抗も空しいし、弥勒自身も寂寥感がある。(広島のシーン)
ラストシーンは人の雑踏に飲み込まれて見えなくなった、一人の独覚。

これが人間の自然であり、運命であるというならなんとも悲しい話だ。
人間はそういった滅びの運命を乗り越えていく力はあるのだろうか?
この小説ではその答えは載っていない。

 

以上、弥勒戦争感想でした。神狩りも非常に読みやすく面白い作品ですので、興味の有る人はぜひ読んで見てください。宝石泥棒も名作です!

kindleなら非常に安く読めますよ!

 

ーそれでは、また。